フリーランスの領収書について徹底解説!発行方法や貰い方など注意点についても

「クライアントに領収書の交付を求められたけれど、正しい書き方が分からない」

「確定申告に使う領収書はどうやって保管すればいいんだろう」

フリーランスになって、領収書の扱い方が分からない方も多いのではないでしょうか。

領収書は税法上、金銭や有価証券の受領事実を証明するために作成し、その支払者の交付する書類です。領収書はクライアントから報酬を受け取ったときに発行を求められたり、経費計上するときに必要になったりします。

この記事では、フリーランスが「発行側」「受領側」になるときの対処法を解説していきます。電子領収書の扱い方についても解説するので、ぜひ何度も読み返して会計の不安を解消してください。

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【発行側】フリーランスが領収書を発行するときの手順

まずは、領収書を発行するときの手順を見ていきましょう。

領収書を発行する手順

  1. 紙の領収書またはエクセルなどの領収書テンプレートを用意する
  2. 領収書の発行日を正確に書く
  3. 領収書の宛名を正式に書く
  4. 金額を正確に記載する
  5. 但し書きを具体的に記載する
  6. 金額に応じて収入印紙を貼り付け押印
  7. 発行者の住所と氏名を記載し、押印

領収書は、とくに指定がなければ紙でもデータでも問題ありません。発行日や宛名、金額などはかならず正確に記載しましょう。

「宛名なし」や「上様」と書くのは基本的にNGで、(株)や(有)などの略称も使いません。必ず正式に相手の名前や屋号、会社名を記載してください。

但し書きについても「お品代として」ではなく、「事務用品代」「文具代」「書籍代」など具体的な内容を記載しましょう。押印はなくても正式な領収書として認められるのですが、クライアントから求められる場合もあるので印鑑は準備しておくと安心です。

フリーランスが支払いの領収書を発行する際の5つのポイント

フリーランスが支払いの領収書を発行するとき、押さえておきたい5つのポイントを解説します。

  1. フリーランスは基本的に支払いの領収書を発行する必要がある
  2. 領収書の日付・宛名・金額・但し書き・住所の書き方
  3. フリーランスが発行する領収書に印鑑は必要?
  4. 住所を書く必要はある?
  5. 領収書に収入印紙が必要なケース

1.フリーランスは基本的に支払いの領収書を発行する必要がある

フリーランスが報酬を受け取ったとき、必ずしも領収書を発行しなければならないわけではありません。

ただし、報酬を支払う側から領収書を請求されたときは、発行する義務が生じます。請求されたのに領収書を発行しなかった場合、支払いを拒否することができるので注意が必要です。

(受取証書の交付請求等)

第四百八十六条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

2 弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない。

引用:民法|e-Gov法令検索

一方、クライアントとの契約上で「領収書は不要」という取り決めが行われていれば、領収書を発行する義務は生じません。契約書で「領収書は不要」とされているにも関わらず領収書を請求された場合は、契約内容を確認した上で請求の意図を確認してみてください。

そもそも報酬に対する領収書は、受領事実の証明や再請求防止など、支払いトラブルを防ぐために求められるものです。報酬の支払いが銀行振込の場合は明細書や電子記録が残るので、報酬に対する領収書を求められることは少ないと考えられます。

2.領収書の日付・宛名・金額・但し書き・住所の書き方

領収書を発行するときは、以下の項目を正確に記載しましょう。

領収書に記載する項目

  1. 日付
  2. 宛名(クライアントの名称)
  3. 領収金額
  4. 但し書き
  5. 発行者の氏名・連絡先
  6. 内訳(消費税など)

1.日付

日付は、フリーランスがクライアントから「報酬を受け取った年月日」を正確に記入しましょう。「年」については和暦・西暦どちらでも構いませんが、省略形にせず「令和5年」「2023年」と記載してください。

2.宛名(クライアントの名称)

宛名は、クライアントの氏名や会社名を正確に記入してください。

宛名なしや「上様」と記入してある領収書は、無効と判断される場合があるので要注意です。会社名である場合も(株)◯◯と省略せず、株式会社◯◯と正式名称で書くのが基本です。

3.領収金額

領収金額は、領収金額の冒頭に「¥」または「金」をつけます。

「¥」とつけた場合は金額の最後に「ー(ハイフン)、「金」とつけた場合は金額の最後に「円也」と書きましょう。

領収金額の数字は3桁ごとに「,(カンマ)」で区切り、数字の間隔は開きすぎないようにしてください。領収金額の書き方は、金額改ざんを防ぐ目的で定められているものです。

4.但し書き

但し書きも「お品代」ではなく、より具体的に記入するのがベストです。「記事作成代金として」「WEBサイト制作費用として」など、できるだけ分かりやすく記入しましょう。

5.発行者の氏名・連絡先

空いているスペースには発行者の名前・住所を正確に記入します。事務所がある場合は事務所の住所、ない場合はご自宅の住所を記入してください。

6.内訳

さらに「インボイス制度」導入にあたり、税率ごとの内訳の記載が求められます。

8%と10%の項目に分け、税率ごとの合計金額と消費税額を記入してください。税務署に課税事業者(適格請求書発行事業者)として登録している場合は、交付された登録番号の記載も必須です。

3.フリーランスが発行する領収書に印鑑は必要?

税法上、領収書に印鑑を押す必要はありません。

押印なしの領収書でも、正式な領収書として認められます。

ただし、クライアントによっては「押印してください」と求められることもあるので、念の為フリーランスになったら印鑑の準備はしておくとよいでしょう。電子領収書の場合は、ツールを使って電子印鑑を作成しておくと便利です。

一般的な領収書には会社の角印が使用されていて、偽造防止の目的もあります。

参考サイト:総行行第169号 総行経第35号 令和2年月7日 各都道府県知事|総務省

4.住所は書く必要はある?

税法上では、発行者の住所の記載がなくても問題ありません。

ただし、慣習や利便性という意味で名前・住所(電話番号)を記載するのが一般的になっています。フリーランスで事務所を持たず、カフェやコワーキングスペースなどを利用している場合、差し支えなければご自宅の住所を書いておくのがおすすめです。

5.領収書に収入印紙が必要なケース

紙で発行された領収書で、かつ領収金額が50,000円以上の場合は「収入印紙」の貼り付けが必要です。

領収金額収入印紙代
5万円未満0円
5万円〜100万円200円
100万円〜200万円400円
200万円〜300万円600円
300万円〜500万円1,000円

出典:国税庁

ただし、電子領収書なら収入印紙は必要ありません

電子領収書の作り方としては専用のツールを導入するか、紙の領収書をスキャンしてデータ化する方法があります。電子領収書を作成したら、メール等で送付すればOKです。

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交付した領収書(控え)の保管する際の3つの注意点

フリーランスが領収書を交付したら、トラブル防止のために領収書の控えを必ず保管しておきましょう。ここでは、領収書の控えを保管するときの3つの注意点を解説します。

1.交付した領収書(控え)は7年間保管しておこう

領収書を発行したら、必ず控えを保管しておきましょう。

領収書の控えは、金額訂正や再発行を求められたときに必要になります。税務調査が入ったときに必要になる場合もあるので、捨てないようにしてください。

領収書の控えは、基本的に7年間保管することが定められています。7年というのは発行日からではなく、発行した年度の「確定申告の提出期限の翌日」から7年です。

例えば2023年1月に発行した領収書は、2024年2月の確定申告書類に該当します。2024年の確定申告の提出期限が3月15日なら、保管期限は7年後の2031年3月16日になるということです。

参考サイト:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

2.交付した領収書(控え)の保管方法

紙の領収書の場合は、月別やクライアント別に分けた上で、ファイルなどに保管しておくのが基本です。

電子領収書として発行した場合は、フォルダに分けて保存しておくとよいでしょう。

また、紙の領収書をスキャンして電子化し、データとして保存しておく方法もあります。スマートフォンのカメラで領収書を撮影するという方法もありますが、撮影する場合は明瞭に見える程度の画素数を確保してください。

参考:Ⅱ 適用要件【基本的事項】|国税庁

3.領収書のテンプレートを活用しよう

「領収書が手元にない!」「作り方が分からない!」など困った場合は、領収書テンプレートや簡易作成ツールを活用しましょう。

会計ソフトや税務のサポートを提供している企業では、無料テンプレートやツールを公開しています。誰でも簡単に使用できるので、会社指定の「ひな形」がないフリーランスに良いでしょう。

クライアントに「紙の領収書」と指定されなければ、ぜひテンプレートや簡易ツールで「電子領収書」を作成してみてください。ペーパーレスになるので環境への配慮にもつながり、保管も簡単なのでおすすめです。

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【受領側】フリーランスの領収書のもらい方・保管方法

フリーランスは、自身が支払ったものに対する領収書を保管しておくことも大切です。仕事のために使ったお金は「経費」になるので、領収書は必ずもらっておきましょう。

そもそもなぜフリーランスが領収書を保管しないといけないのか?

フリーランスは自分自身で確定申告をしなければなりません。

確定申告をするとき、仕事のために使ったお金は「経費」として計上できます。

売上(収入)から経費を引いた金額が「損益」です。「損益」からさらに控除金額を引いて「所得」を算出し、「所得」に税率をかけることで税額が確定します。

つまり「経費」として計上する金額が多いと、所得が少なくなり、支払う税金が少なくすみます。

しかし、何でも「経費」として計上できるわけではありません。仕事で使ったお金という証明や、不正会計ではないことを証明するために、フリーランスは使ったお金の領収書を取っておく必要があるのです。

領収書をもらう際のポイント

フリーランスとして活動していると、経費決済や確定申告などの目的で領収書を受け取る側になることもあるでしょう。ここでは、領収書をもらうときのポイントもチェックしていきましょう。

クレジットカード決済なら領収書なしでOK

クレジットカード決済の場合、原則として領収書は発行されません。

なぜなら、クレジットカード決済をしたとき、サービス代金はクレジットカード会社が立て替えていることになるからです。サービス提供者はクレジットカード決済した人からお金を受け取っているわけではないので、領収書を発行する義務はありません。

経費をクレジットカードで支払った場合、請求明細書や利用明細書は領収書になりませんが、証拠書類として認められます。一般的な明細書には利用年月日や店名、金額などが明記されているからです。

ウェブサイトやアプリで管理している場合は、一定期間をすぎると確認できなくなってしまうので、請求明細書をダウンロードして保存しておきましょう。

領収書を受け取る際の確認すべき箇所

現金で支払いを行ったとき、「領収書をお願いします」と伝えましょう。

領収書をもらうとき、宛名は必ずご自身の名前や屋号を間違いなく書いてもらってください。

税法上は、3万円未満かつ小売業や飲食店業が発行した領収書なら「宛名なし」「上様」でも問題ないことになっています。ただし、税務調査が入ったときに不正会計を疑われる可能性があるので、できるだけ正確に宛名を記載してもらいましょう。

但し書きも、できれば「お品代」ではなく「書籍代として」「文房具代として」「セミナー参加費用として」など具体的に書いてもらうのがベストです。

参考:消費税法|e-Gov法令検索

領収書のもらい方が分からない・もらえないときは出金伝票を書いておこう

仕事のお付き合いにおけるご祝儀やお香典、割り勘にした接待交際費や自動販売機で購入したものなど領収書がもらえない場合は「出金伝票」で代用できます。

領収書をなくしてしまったり、もらい忘れてしまった場合も、出金伝票で対応できるので安心です。

「出金伝票」には日付・支払先・具体的な内容・金額を書きます。紙の出金伝票はもちろん、エクセルなどで作成した電子データでもOKです。

支払い内容が明確であれば、確定申告をする際に経費として認められます。領収書がなくて困っている方は、出金伝票を活用してみてください。

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領収書に関するQ&A

領収書は電子データ・pdfでも認められる?

領収書は、電子データやPDFでも認められます。

データ送付側と受け取り側の合意があれば、領収書として法的な効力を持ちます。ただし写真データの場合、画質が荒くて読めないようなものは認められない場合があるので、できるだけ高画質なものを用意してください。

レシートでも可能?領収書として認められる?

レシートも領収書として認められます。

購入した日付や品代、金額、消費税などが記載されていれば問題ありません。何にいくら支払ったか詳細に記載されているレシートであれば問題ありません。

また、インターネット通販で商品を購入したとき、取引内容のメールをプリントアウトして領収書代わりに使うことも可能です。メールを使う場合は、日付・金額・品物・店名・購入した人など詳細が分かるように印刷してください。

フリーランスなら知っておくべき領収書の保管方法・管理・整理

紙の領収書やレシートなどの保管は、月別(品目別)で封筒に分けておくと便利です。

月別の封筒が12ヶ月分たまったら、ファイルや箱などに入れて保管しましょう。領収書の保管期限は「青色申告」なら7年、「白色申告」なら5年です。

電子領収書の場合は、フォルダに分けて保存しておけばOK。紙の領収書やレシートをスキャンしたり、写真撮影したり、データ化してPCやクラウド上に保存することも認められています。

また、領収書の保管・管理は「クラウド会計ソフト」を使うと便利です。クレジットカードや銀行口座と連携して、自動で経費計算してくれる便利なサービスも増えてきています。

確定申告も簡単にできるので、今やフリーランスには欠かせないツールです。スマホで簡単に操作できる会計アプリもあるので、ぜひ「クラウド会計ソフト」の導入も検討してみてください。

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まとめ

フリーランスは自由度が高い働き方ですが、お金の管理も自分自身で行う必要があります。

領収書を発行したり、受領したり専門外のことだと、難しいと感じてしまうかもしれません。突然クライアントから領収書を請求されたり、確定申告が近づいてきたりすると、ストレスを感じてしまうフリーランスの方も多いのではないでしょうか。

領収書は、扱い方が分かれば簡単に管理できる便利な書類です。会計ソフト・アプリなども上手に使いながら、会計の効率を上げて不安を解消していってください。

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